空気清浄機とオゾン発生器の違い

空気清浄機とオゾン発生器の違い

最近の空気清浄機には、本来オゾン発生器の役割である「脱臭機能」が搭載されていたり、ナノイーやプラズマクラスター、光速ストリーマなる言葉も出てきて、それが空気清浄機とオゾン発生器の違いを余計にわかりづらくしているのかもしれません。

「はて?よくわからないが、空気清浄機に脱臭機能が搭載されたり、ナノイーやプラズマクラスター?もあることだし、もはやハイグレードな空気清浄機を1台持っておけば問題はすべて解決するのでは…」

「空気清浄機とオゾン発生器の違い」や「ナノイーやプラズマクラスター、光速ストリーマとは何なのか」
正直、これがよくわからないという方に、記事を読み終えて「なるほど!」と思っていただけるようにわかりやすくご説明します。
きっとあなたも空気清浄機だけではなく、オゾン発生器の導入を検討したくなるでしょう。

空気清浄機とは

空気清浄機とは
空気清浄機とは、空気中に浮遊するチリやホコリ、花粉、ハウスダストなどを吸い込み、機器内部のフィルタに吸着するなどして、室内の空気をきれいにしてくれる機器のことです。

2003年頃に23%だった普及率は2019年の段階で45%程度まで伸びています。2020年のコロナウイルス禍において、なんでも「2020年1〜3月の3ヶ月で昨年の1年分の売上に迫っている」そうで、そのことを考えれば2020年4月現在で普及率は50%を超え、「2世帯に1台」は空気清浄機を所有しているのかもしれません。

空気清浄機の仕組みと構造

空気清浄機の仕組みにはいくつか種類がありますが、基本的に空気清浄機という機器は「室内空間の浮遊物を空気と一緒に吸い込み、内部のフィルタに吸着させ、きれいな空気をまた室内に戻し、これを繰り返す」このような単純な仕組みです。

空気清浄機は、主に3つの方式があります。

[ファン式]
室内の空気と一緒にチリやホコリなどを吸い込み、機器内部のフィルターに吸着させるなどした後、きれいな空気だけを室内に放出して空気中の汚れをろ過する。多くがこのタイプ。

[電気集塵式]
高圧放電で空気中のチリやホコリをプラスに帯電させ、マイナスに帯電したフィルターで集塵する。帯電させ集塵するという特徴はあれど、集めて絡め取るという点においてはファン式と似たような仕組み。

[イオン発生式]
イオンの力で汚れを不活化させる(とされる)イオン発生式は、空気中に発生させたイオンを放出することで、ウイルスなどの浮遊物質を無力化させる(と言われる)。シャープのプラズマクラスター、パナソニックのナノイー、ダイキンの光速ストリーマが有名。(後述)

空気清浄機で何ができる?〜空気清浄機が得意なこと

空気清浄機や加湿器は新型コロナウイルス対策になりますか?」でも少し書きましたが、空気清浄機の役割はチリやホコリ、花粉やハウスダスト、PM2.5などを除去して室内空間の空気を清浄化することです。

空気清浄機で何ができない?〜空気清浄機が苦手なこと

菌を殺し(殺菌)、ウイルスを不活化(感染できない状態に)すること、これは空気清浄機ではできません。

シャープのプラズマクラスター、パナソニックのナノイー、ダイキンの光速ストリーマなどでは、その呼び方や構造は多少違えど、共通して主張されているのが「イオンの力で汚れを不活化する」という点です。
化学的に考えると「汚れを不活化」や「ウイルスを殺菌する」という言葉の意味は正確ではありませんが、おそらく一般の方々に伝わりやすいようにと考えてのことでしょう。

豆知識
「殺菌」は、その字の通り「菌を殺すこと」を指す。
「不活化」とは、菌ではなく、ウイルスに対して使用する「殺菌」に似た意味の言葉。より正確に言うと「ウイルスが感染できない状態にする」こと。これを「ウイルスの不活化」と言う。厳密に言うと、専門領域において、ウイルスを「汚れ」と表現することはないし、「ウイルスを殺菌する」という言葉も使わないのである。

しかし、これらのメーカーが主張するこの効果は、非常に限定的なものであると言わざるを得ません。
何故なら、日本感染症学会による次のような強いエビデンスがあるからです。
殺菌性能を有する空中浮遊物質の放出を謳う各種電気製品の,寒天平板培地上の細菌に対する殺菌能の本体についての解析

この資料を要約したものが下記になります。

STEP.1
準備
一定数の生菌含有菌液を普通寒天平板上に塗布した。
STEP.2
閉鎖空間の広さと運転時間
14.4m3の閉鎖空間に対象機器とともに置き、機器を2時間運転させ、その後培養した。
STEP.3
比較
非運転環境下においたものと比較した。その結果、調べた3機種、4種の菌のすべての組み合わせで、形成されるコロニーの数は対照のそれと変わらなかった。
STEP.4
より狭い空間で試してみた
一方、細菌を塗布した寒天培地を容積0.2m3(縦・横・高さ20cm)の密閉グローブボックス内に置き、同様の実験を行ったところ、3機種すべてが、腸球菌と黄色ブドウ球菌のコロニー形成を、程度の差はあれ対照と比べて有意に減少させた。
STEP.5
オゾンの可能性を検討
これらの機器が放出するオゾンが原因である可能性を検討した。その結果、殺菌効果は、それらが発生させるイオンや特殊微粒子を除去しても変わらず、一方で発生するオゾンを除去すると激減した。
STEP.6
結論
狭い空間における寒天培地上のある種の細菌という限定的な対象に対しては、ある程度の殺菌作用は認められること。だが、そうした効果は、一義的には、それらの機器が放出している特殊物質ではなく、それらが同時に放出しているオゾンによる殺菌効果で十分説明可能であることが明らかになった。

日本感染症学会のこの実験で証明されたことは、「『ナノイー』や『プラズマクラスター』などが菌を殺しているわけではない」ということと、「(副次的に発生した微量の)オゾンが菌を殺した」ということです。

また、これらの製品を特定し、調査をしたところ、その際に発生するオゾンの量が一般的な家庭用オゾン発生器の半分以下程度だったことが明らかになっています。
そのため、家庭用オゾン発生器だったら、あるいは家庭用オゾン発生器の100倍以上のオゾンを発生する業務用オゾン発生器であれば、その殺菌効果の範囲がより広範囲に及ぶことも裏付ける格好となりました。

このように、空気清浄機では、ウイルスの不活化どころか菌を死滅させることも難しいことがわかります。
そもそも、空気清浄機という機器は、菌の殺菌やウイルスの不活化を目的に設計されていません。
つまり、空気清浄機ができないこと・苦手とすることは、「菌を殺すこととウイルスの不活化」なのです。

オゾン発生器とは

医療機関で使われる家庭用オゾン発生器

医療機関で使われる家庭用オゾン発生器

広範囲の菌やウイルスに強い殺菌消毒効果を示すオゾン(O3)を生成し、空間に放出・散布する機器を「オゾン発生器」と言います。

オゾン発生器の仕組みと構造

オゾン発生器は機器内部にある「放電管(または放電板)」でオゾンを生成します。
オゾン発生器という機器の役割は、生成したオゾンをファンやポンプによって放出し、室内空間に浮遊または付着する菌やウイルスと反応・分解させるなどして、殺菌消毒を行うことです。

オゾン発生器で何ができる?〜オゾン発生器が得意なこと

オゾン発生器から放出されるオゾンは、菌を殺し、ウイルスを不活化することで「殺菌消毒」します。
それがオゾン発生器本来の役割であり、それこそがこの機器の目的です。

オゾン発生器で何ができない?〜オゾン発生器が苦手なこと

オゾン発生器は、空気清浄機のようにチリやホコリなどを吸い取ったり、吸着させることはできません。
「苦手」というより、それをする機能がそもそもこの機器には搭載されていません。

空気清浄機とオゾン発生器はここが違う〜併用のすすめ

空気清浄機とオゾン発生器はここが違う〜併用のすすめ
ここまで読んでくださった方はもうお分かりかと思いますが、空気清浄機とオゾン発生器でその役割はまったく異なります。
日本の電解製品はいつからか、もともとある便利な機器に次から次へとさらなる機能を上乗せしていき、いわゆる「万能感」を追求するような傾向が見られるようになりました。
万能感を追求しようとするがゆえに、どれも「中途半端」になってしまうことはご想像いただけるかと思います。

日本には昔から「餅は餅屋」という言葉があります。
さして効果のない新たな機能を上乗せしていくのではなく、空気清浄機は空気を清浄化するための機器、オゾン発生器は菌やウイルスを殺菌消毒するための機器、と改めて再認識し、本来の役割、得意な分野を理解し、無駄のないコストで最大限の効果を享受するために、空気清浄機とオゾン発生器の併用を強くおすすめします。

ちなみに、蛇足ながらお伝えしておくと、これほどまでに公衆衛生に貢献している機器はないのではないかと思うほど、空気清浄機は大変素晴らしい機器です。
空気清浄機、オゾン発生器、加湿器、これら3台の内、1台しか持てないとすれば空気清浄機を所有すべきだと思います。
ただし、すでに空気清浄機をお持ちであったり、菌やウイルスに対する効果を強くお望みの場合、オゾン発生器以外の選択肢がないこともまた覚えておいていただけると大変嬉しく思います。

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